エンツォ・カルフォラは情熱的な紳士だ。まだ30代前半でありながら、非常にエレガントな雰囲気を漂わせる。しかし仕立てのこととなれば、その冷静な表情からは想像できないほどの情熱を秘めている。
エンツォ・カルフォラは常に1900年代初頭から60年代のスーツを研究している。彼の特徴的なスタイルはそこに着想を得たものである。彼は貪欲なまでに古いビスポークスーツを研究し続けており、良いと思ったことは躊躇せず実践している。
典型的なナポリ仕立てのようにアームホールは高く小さいが、袖付けはややクリアだ。また肩パッドをほとんど用いないにも関わらず肩にはアイロンワークで美しいコンケープに近い構築感が作り出されている。
彼のスーツは特徴的で、日本人には認められにくい部分もあるかもしれない。もともとエンツォ・カルフォラはトランクショー以外で服を展開するつもりがない。既製服やパターンオーダーがないので、まだ知名度が低い。
しかしいつの日か、彼の人並みならぬ仕立てへの情熱がエンツォ・カルフォラを日本やアジアへと導くかもしれない。
Back to Top